研究

  私は主に、(1)政策の廃止がどのように行われているかという問いや、(2)地方自治体におけるガバナンスはどのような状況かという問いについて研究を進めており、現在は(3)都市における公共施設の統廃合について研究を行う計画を立てています。
 (1)日本は中央政府・地方自治体ともに莫大な長期債務を抱えています。膨れ上がった債務を減少させるため、既存の政策の廃止という形で政府が提供していた公共サービスを縮小させる動きがあります。政策廃止とは政策過程の段階モデルでは最終段階に位置付けられる現象ですが、廃止が実際にどのようにして行われているのかについては体系的な研究はあまり行われていませんでした。私は都道府県におけるダム事業、自治体病院事業、土地開発公社を分析対象として、政策廃止がどのようにして議題に上がり、決定されるかを事例分析や質的比較分析を行うことにより明らかにしています。
 (2)上述したように、政府によって担われてきた公共サービスが縮小される中、公共サービスの新たな担い手としてNPO・市民団体等の市民社会組織が注目されています。私は、これまでに市区町村の行政や市民社会組織に対して行った大規模なサーベイデータを分析し、ローカル・ガバナンスの状況を明らかにしています。特に関心を有する点としては、市民社会組織の政策参加状況と、市民社会組織が行政の代理人として政策実施過程に参加するだけではなく、政策形成過程への参加を行うことにより、行政と市民社会組織による相互行為的なネットワークを築いているかという点であり、これらについて都市間、団体間比較や時系列での比較を行っています。
 (3)現在は、これまでの研究を踏まえて、都市における公共施設の統廃合に関する研究計画を立てています。

著書(分担執筆)
辻中豊・伊藤修一郎編(2010)『ローカル・ガバナンス‐地方政府と市民社会‐』木鐸社
 第4章「地方政府における外部委託の状況」(柳至)77-93頁
 第5章「参加制度の導入と市民社会組織の政策参加」(柳至)95-110頁

論文
柳至・小橋洋平(2017)「行政と協働する団体は行政を統制しないのか」『レヴァイアサン』61号、近刊
柳至(2014)「政策の存在理由が地方政治家の行動に与える影響‐地方自治体における政策・組織廃止を事例にして‐」『年報行政研究』49号、160-181頁
柳至(2014)「首長と議会の対立を抑制するもの‐地方自治体におけるダム事業を事例にして‐」『政策科学・国際関係論集』16号、63-99頁
柳至(2012)「自治体病院事業はどのようにして廃止されたか」『公共政策研究』12号、48-60頁
柳至(2012)「地方自治体における政策・組織廃止の実証研究‐二重の制度下のアクター間関係に着目して‐」博士学位論文・筑波大学人文社会科学研究科、全212頁
柳至(2011)「地方自治体における組織廃止の過程‐関東6県の土地開発公社改革を事例にして‐」『季刊行政管理研究』134号、19-32頁


報告書
辻中豊編(2015)『第三次団体の基礎構造に関する調査(日本・社会団体調査)』筑波大学
  第7章「官民関係の諸相‐融合関係の持続と変容‐」(柳至)122-139頁
  第9章「地域間比較の視座」(柳至)161-170頁
辻中豊・伊藤修一郎編(2009)『市民社会構造とガバナンス総合研究全国自治体 (市区町村)調査報告書』筑波大学
  第4章「市区町村の概要」(柳至)51-64頁
  第7章「制度やサービスの実施状況」(柳至)93-119頁


学会報告
2013年11月:第26回沖縄法政学会(琉球大学)「沖縄県における市民社会組織の政策参加-全国平均との比較から-」
2013年5月 :日本行政学会2013年度総会・研究会(愛知大学)「政策・組織の存在理由が地方政治家の行動に与える影響‐ダム事業・自治体病院事業・土地開発公社の廃止を事例にして‐」全19頁
2010年6月 :日本公共政策学会2010年度研究大会(静岡文化芸術大学)「行政的回路を通じた中央政府への地方政府の利益の表出‐戸倉ダム事業の中止を事例として‐」『日本公共政策学会2010年度研究大会報告論文集』、209‐223頁


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